みなさんは自毛植毛という薄毛の治療法をご存じでしょうか。
自毛植毛とは、ご自身の髪を移植することで薄毛を改善する治療法なのですが、その施術法にはいくつか種類があります。
それぞれ移植の手段や治療費などが異なるので、自毛植毛をしたいという方はそれぞれの特徴について詳しく知っていると良いでしょう。
今回は、自毛植毛の種類の一つであるFUT法について詳しく解説していきつつ、他の施術法と比較していきたいと思います。
自毛植毛を検討しているという方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
自毛植毛 FUT法とは?
FUT法とは自毛植毛の一種です。メスで後頭部の頭皮を切り取り、そこから移植毛を採取して薄毛部分に植え込みをします。後頭部はAGAの影響を受けにくく薄毛になりにくいので、移植毛として適しているのです。
自毛植毛の中でも代表的な方法であり、全世界で行われています。
AGA治療薬の効果が出ない方や、AGA治療薬を使用したくない方でも自毛植毛で薄毛を改善することが可能なのです。
自毛植毛後の抜け毛
髪の毛を移植することで薄毛を改善する自毛植毛ですが、移植した髪は一度抜け落ちてしまいます。これは、植え付けた髪の毛根がヘアサイクルを整えようとするために起こる現象なので、心配する必要はありません。
手術から約1ヶ月で移植毛はすべて抜け落ちると言われています。
自毛植毛の反作用「ショックロス」とは
ショックロスとは、移植後その周囲に前から生えていた髪の毛が一次的に抜け落ちる副作用のことです。
医学的な原因は判明しておらず、具体的な予防や対策はありません。また、ショックロスで抜ける髪の量・時期は個人差があり、5人に1人ほどの確率で起こると言われています。
ただ、ショックロスは一時的なもので、半年後には新しい髪が生えそろうのでこちらも心配する必要はありません。
実際の費用の目安は?
では実際に自毛植毛の費用の目安はいくらなのでしょうか。自毛植毛の費用は「基本料金+(株単価×植毛株数)」で決まります。
株とは毛包の数の単位のことであり、1つの毛包には毛が1~4本生えています。ただ、細かい費用に関しては植毛する株数やクリニックの料金設定によって異なるのでクリニックの無料相談の際にしっかり確認するようにしましょう。
また、ここでは後に解説する「FUE法」「ARTAS植毛」といった自毛植毛についても紹介したいと思います。先に簡単に説明すると、FUE法はメスを使わない自毛植毛で、ARTAS植毛はロボットによって行われるFUE法のことです。
以下の表に施術法ごとのおおよその費用をまとめていますので参考にしてください。
自毛植毛の各施術法の費用
FUT法 | FUE法 | ARTAS植毛 | |
株単価 | 660~1100円 | 880~1320円 | 80~1000円 |
費用 | 55万~77万円 | 66万~88万円 | 39万~100万円 |
FUE法とFUT法の違い
FUE法は、「ニードル」「パンチブレード」「パンチグラフト」などと呼ばれる医療器具を用いて移植毛を一つ一つ採取する施術法です。
FUT法のようにメスを使用することはなく、「切らない植毛」として広まっています。
ただ、毛根を傷つけないように移植毛をくり抜くには、施術する医師に高度な技術が求められます。そのため、ドナーロスは医師の技術に左右されます。
また、FUT法よりドナー株の採取に時間がかかるため、FUE法はFUT法よりも時間と手間がかかる高額な治療となっているのです。
FUT法のほうがキズ跡の総面積が小さい理由
FUE法はFUT法と異なり頭皮を切り取ることはないので、比較的キズ跡の総面積が小さいと思っている人も多いでしょう。
しかし、実際はその逆でFUT法のほうがキズ跡の総面積は小さいのです。
FUT法では、メスでできたキズ跡を糸で縫合します。その結果、キズ跡は元の約10分の1程度になるのです。
そのため、FUT法のキズ跡の総面積はFUE法の約3分の1程度になると言われており、FUT法の方が実は小さいのです。
FUT治療に向いている人は?
大量の植毛をしたい人にはFUT法が向いています。先ほども述べましたが、FUTは縫合によってキズ跡の総面積が10分の1まで縮小されるので大量の植毛でキズ跡を残したくない人におすすめできる植毛です。
また、FUT法で採取できる生涯ドナー株数は約6000個であり、これはFUE法の約2倍となっています。
ARTAS植毛
ARTAS植毛はFUE法の一種で、AIが搭載されたロボットが施術する植毛です。
医師の手で行うFUE法に比べて、毛根を切断する確率が低いこともあり比較的短時間で治療が終わります。
しかし、ARTAS植毛で使用されるニードルの直径はかなり大きめので、キズ跡の総面積も大きくなってしまいます。
キズ跡は生涯残ってしまうものです。できるだけキズ跡を残したくないという人にはARTAS植毛はおすすめできません。
FUT法の治療の流れ
- メスで後頭部の頭皮を縦1cm、横10~20cmほどの帯状に切り取る
- メスの使用で頭皮にできたキズ口を縫合
- 双眼実体顕微鏡を用いて、毛根を傷つけないよう皮膚から毛包単位に分ける(株分け)
- 移植する部分に切り込みを入れ、株分けした移植片を植えこむ
株分けでは熟練の看護師が慎重に切り分けをしてドナー株を作るため、毛根の切断は稀です。そのため、質の高いドナー株を採取することができます。
株分け技術の重要性
株分けは非常に労力がかかり高い集中力が求められる作業です。それと同時にミスが許されない作業でもあるので、高い技術力が必要となります。
移植毛は数に限りがあるため、少しでもドナーロスを減らすことが大切なのです。
移植部分の定着率
移植するドナー株は鮮度が高いほど定着率が高くなります。つまり、採取してから移植するまでの時間が短いほど良いということです。
また、毛根が傷つけられていると定着率は下がるので、自毛植毛の作業はいかに速く丁寧にできるかが重要なのです。
縫合痕にも毛は生えてくるのか
通常、自毛植毛の際にできたキズ跡からは毛が生えてくることはありません。
しかし、「トリコフィティック縫合法」という方法では縫合周辺にも毛を生やすことが出来ます。
この縫合法は採取部の下縁となる表皮を1~2mm削り、そこに上縁の表皮を被せて縫い合わせます。それにより、縫合周辺に毛が生えてくるようになるのでキズ跡をより目立ちにくくすることができます。
FUT法のメリット・デメリット
FUT法にはさまざまなメリット・デメリットがあります。
それぞれきちんと把握した上で治療をするようにしましょう。
メリット
- 移植した髪は自然な仕上がりになる
- 定着率が高い傾向にあり、高度な技術をもつ医師が行うとその確率は95%以上になる
- 手術はその日中に終えることができるため、次の日からも普通に生活できる
- 生涯採取できるドナー株数はFUE法の約2倍
デメリット
- 手術には双眼実体顕微鏡が必要なため、最新設備の整った病院でないと行えない
- 手作業のため、費用が高い
- メスで頭皮を切るためキズ跡が残る
- 頭皮が硬い方は採取できるドナー株数が限られる
自毛植毛のFUT法のまとめ
自毛植毛にはいくつか種類があり、それぞれのメリット・デメリットがあります。自毛植毛をする場合はよく考えて施術法を選ぶようにしましょう。
ただ、薄毛の治療法は自毛植毛の他にもいくつかあります。そのため、薄毛を治療したいならまずは専門の医師に相談するようにしましょう。
基本的には薬治療が効かなかった場合、自毛植毛をするくらいがいいと思います。
クリスタル美容外科では無料相談も行っています。薄毛・抜け毛が気になる方はお気軽にお問い合わせください。