AGA

【医師が教える】テストステロン(男性ホルモン)とは?AGAとの関係

テストステロン(男性ホルモン)は男性の健康を保つ大事なホルモンの一つです。テストステロンは人々の体つきや性格に影響しており、「男らしさ」を作っていると言われています。

今回は、そんなテストステロンについて詳しく解説していきたいと思います。

テストステロン(男性ホルモン)って何?

AGA

テストステロン(男性ホルモン)は筋肉や骨格の形成を促進させるホルモンです。

他にも、性機能の発達や心身の健康維持にも大きく関わっています。

テストステロンは男性の場合約95%が睾丸(精巣)、残りの5%は副腎で合成し分泌されています。

また、女性の体内に存在しているテストステロンは男性の5~10%といわれ、男性に比べ非常に少ない量となっているのです。

テストステロン(男性ホルモン)の働きとは

テストステロン

筋肉や骨格の成長

思春期に筋肉や骨格を成長させるためには、テストステロンや成長ホルモンが必要不可欠と言われています。

テストステロンには筋肉を増強させたり骨格を大きくさせる作用があります。

ただし、思春期における男性ホルモンの過剰分泌は骨格の成長に悪影響を与えてしまい、身長が伸びない可能性があるので個人の判断で過度に分泌させようとするのは止めましょう。

性機能

テストステロンは性機能の維持や向上のほか、睾丸や陰茎の発育に関わっています。

また、男性器の勃起はテストステロンによるものだと考えられています。

このようにテストステロンには、性行為を促す役割があるのです。

精神面(集中力など)

テストステロンは大脳に作用し、判断力や高い集中力を働かせる作用があります。

また、やる気が出る前向きになるなど精神を安定させる効果もあります。

テストステロンとAGA(男性型脱毛症)・薄毛の関係とは

男性 ハゲ

テストステロンはAGAの発症に関わっています。

テストステロン(男性ホルモン)といえば、男女ともに体内で分泌されている性ホルモンの1つで、テストステロンが頭皮にある5αリダクターゼⅡと結びつくとジヒドロテストステロン(DHT)へと変化します。

悪玉男性ホルモンのジヒドロテストステロンによって、髪の成長期が短縮されると短くて弱々しい髪が増えます。そして、DHTが毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体に取り込まれると脱毛シグナルを出すため薄毛が進行するのです。

AGAはテストステロンが5αリダクターゼⅡと結びつくことで発症するので、若い方でも薄毛が起きている場合はAGAが進行している可能性があります。

医者
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テストステロン(男性ホルモン)は女性にも影響するの? 

女性のつむじハゲ

閉経後もテストステロンの量に大きな変化はありませんが、女性ホルモンの量が急激に減少したことで、テストステロンの影響が強くなり男性的な考え方になると言われています。

そのため、テストステロンが多い女性は、組織内で中心的な存在になる傾向や主体性が高くなる傾向があるようです。

テストステロン(男性ホルモン)の減少 

薄毛

テストステロンが減少する要因

加齢

テストステロンは20歳をピークに分泌量が年々減少してしまいます。

その影響で、年を重ねるごとに身体面や精神面にさまざまな症状が出てしまいます。

ストレス

ストレスを感じると抗ストレスホルモンの「コルチゾール」が分泌されます。

しかし、過剰に分泌されるとコルチゾールを製造する副腎が疲弊してしまいます。

テストステロンの元となるホルモンは副腎で作られているため、ストレスを感じるとテストステロンが減少してしまうのです。

テストステロンの減少により起こりうる他の症状

動脈硬化

テストステロンは一酸化窒素を供給し、血管の健康を保つことで動脈硬化が進展しないように抑えています。

そのため、テストステロンが減少するということは、動脈硬化のリスクが高くなってしまうということなのです。

認知症・記憶力

テストステロンは脳内にある海馬の中に存在し、そこで重要な役割を果たしています。

海馬は記憶に深く関わっているのでテストステロンが減少すると、もの忘れが多くなり認知症になるリスクが高くなってしまいます。

高脂血症(高コレステロール血症)

テストステロンの減少は高脂血症の発症に関与しているといわれています。

コレステロールはテストステロンの原料となるのですが、過剰摂取すると高脂血症を発症する危険性があるので気を付けましょう。

また、高脂血症の薬の中で脂溶性の傾向があるものはテストステロンを減少させる副作用があります。なので、それぞれの症状に合った最善の薬を服用することが大切なのです。

指比

「指比」とは手の人差し指の長さ(2D)の薬指の長さ(4D)に対する比率のことで、分数では2D4Dと表されます。

テストステロンがこの指比に関係しているといわれており、テストステロンが多いほど薬指が人差し指より長くなります。

テストステロンが減少しているか調べるには

テストステロンが減少しているか調べるためには、クリニックなどで受診し検査する必要があります。

もし、精神面や性機能に何か症状が出ていると感じた場合は、テストステロンの減少によって発症するテストステロンLOH症候群の可能性があるので、男性更年期専門外来やメンズヘルス外来で検査をすると良いでしょう。

テストステロン(男性ホルモン)と筋トレの関係

テストステロン

筋トレをするとテストステロンの分泌が促進されます。

筋トレ専用の器具を使わない自重トレーニングでも効果は期待できるので、時間のある方は自宅でのトレーニングを習慣化すると良いでしょう。

また、中年になると若い時ほど筋トレの効果が出にくくなると言われていますが、これは年齢を重ねるにつれてテストステロンが減少しているため筋肉が発達しにくいことが原因とされています。

テストステロンを増やすには

薬

ここでは筋トレ以外の方法でテストステロンを増やす方法を紹介していきたいと思います。

良質な睡眠

良質な睡眠のためには、睡眠時間と睡眠の質のどちらも意識するようにしましょう。

睡眠不足にならないためには、7~8時間程度睡眠時間を確保するのが理想とされています。

また、睡眠の質を良くするために以下の項目を意識して生活しましょう。

寝る前の良習慣
  • 寝る前にスマホはなるべく使わない
  • 夕食は寝る3時間前には済ませる
  • 入浴は寝る2時間前には済ませる

十分なタンパク質の摂取

テストステロンを活性化させるにはタンパク質が欠かせません。タンパク質が不足すると、体が飢餓状態になりテストステロンが十分に分泌されなくなってしまうので日頃から意識して摂取するようにしましょう。

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亜鉛やマグネシウムなどのミネラル摂取

亜鉛は様々な遺伝子発現に必要不可欠なミネラルです。亜鉛の摂取量が減少してくると、テストステロンの血中濃度が減少してしまいます。

また、マグネシウムを多く摂取しているほどテストステロン値は高くなります。

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過剰なダイエットをやめる

ダイエットのために過剰なカロリー制限をしてしまうと、テストステロンが減少してしまいます。

なぜなら、過剰なダイエットによりテストステロンの原料であるコレステロールが過度に低下してしまうことで、テストステロンの低下を引き起こしてしまうからです。

日光浴

適度に日光浴をするとテストステロンが上昇するという事実が研究で明らかになっています。

一日15~20分ほど日光浴するだけでもテストステロンの分泌が2割程度上昇することが明らかになっています。

ただし紫外線を浴び過ぎると健康に悪影響が出るので、実施時間には気を付けましょう。

テストステロン補充療法(TRT)とは?

AGA治療

40~60代の男性は社会的責任などが増え、ストレスが重なることも多く、また男性ホルモンが急激に減ることで不定愁訴が起こることがあります。

この病気は加齢と男性ホルモンの分泌低下にともなうもので、テストステロンLOH症候群と呼ばれています。

この病気を改善するために男性ホルモンを補充することで行う治療法が、テストステロン補充療法(TRT)です。

主に泌尿器科で行われますが、近年ではメンズクリニックや一部の内科、精神神経科、心療内科の医師も行っています。

副作用や注意点

テストステロン補充療法には以下のようなさまざまな副作用があります。

主な症例
  • 多血症
  • 肝機能障害
  • 脂質代謝異常
  • 女性化乳房・ざ瘡・皮膚の赤み
  • 体毛増加
  • 睡眠時無呼吸症候群の悪化
  • むくみ
  • 気分、行動の変化
  • 精巣萎縮、男性不妊症
  • 前立腺肥大化・前立腺がん、乳がんの悪化

この中でも発症数が多いと言われるのが、多血症と肝機能障害です。

副作用の発生を防ぐためにも、治療開始後は3~6ヶ月ごとの血液検査を行うことが勧められています。

テストステロンLOH症候群とは

LOH症候群

テストステロンLOH症候群は男性更年期障害よも呼ばれ、主にテストステロンの減少によって引き起こされます。

ただ、加齢によるテストステロンの減少だけが原因ではなく、仕事や生活上でのストレスによるテストステロンの減少も発症に影響してしまうのです。

以下のように身体面や精神面、性機能に関わる症状を発症します。

主な症状
  • 疲労感や倦怠感
  • ED(勃起障害)
  • うつ傾向
  • いらいらなどの精神症状
  • 記憶力・集中力の低下
  • 筋力の低下
  • 骨量減少
  • 体脂肪の増加
  • 体毛の減少 

テストステロンLOH症候群は女性の更年期障害における閉経のような分かりやすい原因がないので、違う病気と診断されることもあります。

発症時期に決まりはありませんが40代で発症する人が多いです。

また、発症期間も決まっていないため場合によっては80代以降まで悩まされることもあります。

テストステロンのまとめ

AGA治療

テストステロンは人の身体や精神に関わっているので、その量を減少させないようにすることが大切です。そして、男性の薄毛の原因として多く見られるAGAにも深く関与しています。

AGAの治療では、まずは専門のクリニックを受診して治療することが大切です。クリスタル美容外科ではAGAに有効とされる医薬品を用いた治療を行うことができます。

カウンセリングでは経験豊富なドクターに悩みを相談できるので、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。