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【医師教える】自毛植毛は危険?副作用や費用を解説

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自毛植毛という薄毛の治療法をご存じでしょうか。その名の通り、自身の毛髪で植毛する治療法です。今回はそんな自毛植毛について、その危険性やメリット・デメリットも踏まえながら詳しく解説していきたいと思います。

自毛植毛の特徴とは?

自毛植毛は一般的に自身の後頭部にある毛髪を、薄くなっている部分に移植する治療法です。後頭部の毛髪は前頭部や頭頂部とは異なりAGAの影響を受けず、薄毛になりにくいので移植毛として適しています。

また、移植した後もAGAの影響を受けずに成長するので薄くなっている部分のボリュームアップが期待でき、コシのある自然な仕上がりに成長します。移植後の成長は自然にだんだんと伸びていくので違和感がありません。

自毛植毛で移植した毛髪は、自然に生えている毛髪と同様にヘアサイクルを繰り返すので抜け落ちたからといって定期的にメンテナンスをする必要がありません。

自毛植毛のメリット・デメリット 

メリット・デメリット

メリット

AGAに効果的

自毛植毛で主に移植される後頭部の毛髪は、前頭部や後頭部の毛髪とは異なりAGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の影響を受けません。したがって、AGAが進行している部分に移植しても正常に生えるのでAGAの治療に効果的です。

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目で見て分かる

自毛植毛では移植した毛髪が抜け落ちた後、新しい毛髪に生え変わります。そのため、生着した部分からだんだん成長していくのが目で見て分かります。実感するまでに数か月間かかりますが、薄毛が改善される実感を持つことが出来ます。

移植による体の拒絶反応が起こりにくい

自毛植毛では自分の毛髪を移植するため拒絶反応が起こりにくいです。そのため、施術後に起こるかゆみや痛み、皮膚トラブルなどが軽度になります。拒絶反応によって一度植毛した毛髪が抜けるリスクが低いのことも大きなメリットです。

毛根が消失してしまった場合でも施術可能

自毛植毛は、毛根を含めその周りの頭皮組織を切り取って移植するので、毛根が消失してしまった場合でも施術可能です。瘢痕性脱毛症によって髪の毛が再生されない状態でも髪を生やすことができます

信頼性も高い

日本皮膚科学会が定めた脱毛症診療ガイドラインでは自毛植毛が薄毛治療として「行うよう勧める」と記述されており、その5段階ある推奨度のうち2番目の”推奨度B”とされています。

このように自毛植毛は医学的に認められた薄毛治療であり信頼性が高いです。また、その歴史は古く1800年代には皮膚移植が脱毛治療に提案されていて、今日に至るまでにさまざまな改良・試行錯誤がされてきています。

日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドラインでは以下のようになっています。推奨度は評価の高い順にA、B、C1、C2、Dの5段階に分かれています。

デメリット

植毛部分のみAGAの効果がある

先ほども述べた通り自毛植毛で移植した毛髪はAGAの影響を受けにくいですが、植毛していない毛髪には薄毛治療の効果は何もないのでAGAが進行し続けてしまいます。

自毛植毛をしたとしてもAGA治療を怠ると薄毛が改善できない可能性があるので、植毛が終わった後もAGA治療を続けることが大事です

合併症のリスク

自毛植毛をするにあたり合併症を引き起こすことがあります。とはいえ、重い症状はそれほどなく時間が経過すると治るものが多いです。また、発症頻度は非常に低いのであまり心配する必要はありません。

傷跡が残るリスク

自毛植毛の種類によっても異なりますが、線状や点状の傷跡が残るリスクがあります。ただ、傷跡の周囲の髪で隠すことができるので日常生活に支障をきたすことはほぼありません。しかし、将来髪全体が薄毛になった場合傷跡を隠せなくなる可能性があります。

生着しない場合もある

自毛植毛の場合毛根の生着率は80~90%ほどであると言われています。なので移植する全ての毛髪が生着することはありません。また、生着率は髪質や施術者の技量により下がってしまうことがあります。他にも移植した後に適切なケアをしないと生着率が悪化してしまいます。

費用

自毛植毛の費用は数十万~数百万円ほどかかります。費用が高額になってしまう理由としては、

  • 専門の医師による知識と技術が必要な医療行為であるため
  • 健康保険が適用されず全額自己負担となるため
  • 一本一本移植するのに労力がかかるため

などが挙げられます。

人工植毛もある

自毛植毛の他に人工植毛という選択肢もあります。その名の通り、人工的にできた髪を植え付けるのですが、そのメリットやデメリットを見ていきたいと思います。

メリット

使用する人工毛はポリエステルやナイロンなどの合成繊維でできています。そのため、自毛植毛のように自身の頭皮組織をメスで切り取ることがないので、採取する髪がない方でも治療できます。また、自毛植毛よりも施術に必要な費用がかからないです。

自毛植毛は後頭部から移植するため本数に限度があるのに対し、人工植毛は植毛する本数は自由に調整できます。さらに、植毛する毛の長さも調節することができるので施術直後の時点で髪型を整えることができます。

デメリット

合成繊維を植えるため、自毛植毛とは異なり体に異物を入れることになります。それによって拒絶反応が出てしまい人工毛は抜け落ちてしまいます。人工植毛は年に数回の定期的なメンテナンスが必要でありそのたびに費用がかかってしまいます

その他にも炎症や化膿、感染症などの副作用の恐れもあります。また、日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドラインでは一番低い”推奨度D”であり「行うべきではない」とされています。アメリカでは人口毛の植毛手術自体が禁止されています。

自毛植毛の種類

医師

FUT法(ストリップ法)

FUT法はメスで後頭部の頭皮を帯状に切り取り、その中から移植毛を採取します。毛根を傷つけないよう細かく切り分けてドナー株を採取することができるので、生着率が高い傾向にあります。そのため、高い密度で植毛できたり、自然な仕上がりになるなど良い植毛結果が期待できます。

また、生涯採取できるドナー株数が最大で6000株ほどもあるため、広範囲に植毛することが可能です。ただ、メスを使用して頭皮を切り取るため傷跡が残ってしまいます。傷跡が残っても大丈夫なのかよく考えてから治療するようにしましょう。こちらの費用はおよそ50万円〜となります。

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FUE法

FUE法はパンチという機械で一つ一つの髪の毛を毛根ごと直接くり抜く方法です。頭皮を切らないので縫合の傷跡ができず、手術後の痛みが軽いのが特徴です。また、メスを使用しないので頭皮が硬い方でもドナーを採取することができます。

しかし、採取する際の毛根の切断率が高いため、生涯採取できるドナー株数は2000~3000株ほどとなってしまいます。さらに、パンチを使用してくり抜くには高度な技術が必要であり、費用が高額になりやすく拘束時間も長くなりやすいです。そのため、費用はおよそ60万円〜となります。

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CHOI法(ニードル法)

植毛針という植毛器で穴をあける作業と植え込みを同時に行う方法です。そのため、傷跡が残りにくい、出血が少ない、生着率が高い(90%以上)、手術が早いなどのメリットがあります。

また、毛髪を一つずつ角度を調整しながら植え込むので、より自然なボリュームにすることができます。しかし、広範囲に植毛するのは難しく、医師の負担が大きいため費用が高額になりやすいです。そのため、費用はおよそ80万円〜となります。

ARTAS植毛

ARTAS植毛はAIが搭載されたロボットを用いる植毛でありFUE法の一種です。FUE法では肉眼で皮膚の下の見えない毛根を採取するのが難しく、毛根の切断率が高くなってしまいますが、ARTASというロボットは髪の密度や本数を瞬時に把握したり、毛根の角度を計算したり出来るので毛根が切断されないようにドナーを採取できます。

そのため、術者のストレスも少なくなり比較的短時間で行うことができます。こちらの費用はおよそ50万円〜となります。

スマートグラフト植毛

スマートグラフト植毛は新鮮保存機能付きドリルを用いて、採取した毛髪をそのまま冷却保存して行う方法です。これにより毛根細胞を新鮮な状態のまま植え込むことができるため生着率が高い方法となります。

また、毛髪を素早く吸引するため出血が少なく傷口の回復が早く、24時間ほど程度で済みます。しかし、日本で使われ始めてからあまり時間が経っていないため、この手術を行った回数が多いクリニックに受診することをおすすめします。こちらの費用はおよそ80万円〜となります。

治療法や費用はクリニックによって変わります。また施術する医師の経験や技量によっても変わるので、納得のいく方法を見つけるためにも先ずは専門のクリニックで相談してみてください。

自毛植毛治療の期間

自毛植毛は移植してからすぐに実感が湧くことはありません。まず、施術から約1か月後に移植された毛が抜けます。これは新しく毛髪が生え変わるための現象なので心配する必要はありません。そしてヘアサイクルの休止期である2~3か月ほどが経過すると新しい髪が生えてきます。

そのため、自毛植毛の実感が出るのは施術してから4か月ほどになると言われています。また、髪は1か月で1cmほど伸びるので髪を長くする場合は施術してから時間がかかります。もとのボリュームに戻るのには6ヶ月~8ヶ月は最低かかると見ておきましょう。

自毛植毛の費用

自毛植毛の施術の費用は人工毛植毛より高いですが、人工毛植毛のようにメンテナンスの必要がないので費用を支払い続けることはありません。

自毛植毛の費用は「基本治療費+1株あたりの料金×株数」で計算できます。

基本治療費は20~30万円ほどですが、中には必要ない場合もあります。治療を検討している方はいくつかのクリニックを見比べるようにしましょう。

また、「1株」というのは「毛包が1つ」ということを指し、毛包一つにつき1~3本の毛が生えています。1株当たりの値段は450~1500円であり、1度の施術で最大2500株移植できます。

そのため、自毛植毛の費用は数十万~数百万円と高額になりがちです。

自毛植毛の副作用

自毛植毛で自身の髪を移植することによって、以下のような副作用が起こる可能性があります。また、副作用の発率や症状の大きさには個人差があります。

手術終了後すぐに出やすい症状

  • 施術した部分の痛み
  • 出血
  • 吐き気・頭痛
  • 移植部分のかさぶたや赤み

手術終了から数日経って出やすい症状

  • 移植部のかゆみ
  • しゃっくり
  • 額や瞼の腫れ

手術終了後の数週間から数か月の間に出やすい症状

  • ドナー縫合部や周囲のしびれ
  • 感染症・膿胞
  • 一時的な脱毛(ショックロス)
  • 最初に生え始める移植毛のくせ

自毛植毛はさまざまな副作用があるため、体に負担がかかる治療法です。リスクがあることを踏まえた上で治療を検討しましょう。

自毛植毛の注意点

注意点

頭頂部に自毛植毛する場合には注意が必要です。頭頂部は前頭部に比べミノキシジルフィナステリドなどを含む薬の服用や育毛剤の使用で効果が期待できる毛根がたくさんあります。しかし、頭頂部に自毛植毛してしまうともとからあった毛根が栄養の奪い合いにより薬の効果が期待できる毛根が死んでしまうかもしれないのです。

まずは薬を使用し、効果が無かったら頭頂部への自毛植毛を検討するようにしましょう。また、自毛植毛では植毛したすべての毛髪が生着するわけではないので、術後には生着させることを意識する必要があります。具体的には施術の当日は髪を洗わず、その後の1週間は髪に刺激を与えないようにスプレーで濡らして洗うようにしましょう。寝るときは頭皮をこすらせないために1週間は固めの枕を使うことをおすすめします。

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自毛植毛以外の方法

薄毛や抜け毛に悩んでいる場合、人毛植毛の他にもさまざまな治療手段があります。

AGA治療

薄毛治療の代表的なものとしてミノキシジルやフィナステリドといった薬を服用をするAGA治療が挙げられます。ミノキシジルは発毛を促進させ、フィナステリドは脱毛を予防する効果があります。

AGA治療は薄毛や抜け毛を根本的に解決する治療法です。また、脱毛症診療ガイドラインにおいては最も進められている”推奨度A”となっています

女性のFAGA治療もあり、ミノキシジルとスピロノラクトンという成分をつかって薄毛を治療します。

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ウィッグやかつらの使用

すぐに薄い部分を隠せるという点ではウィッグも人気です。ウィッグには主に3種類あります。

  • かぶるだけのタイプ
  • かぶってむすびつけるタイプ
  • 頭皮に接着剤で貼り付けるタイプ

特に貼るタイプのウィッグはしっかり見ても気づけないほど本物同然にできています。ただ根本的な治療ではないので、髪を生やすという点ではAGA治療のほうがおすすめです。

増毛 (結毛)

増毛(結毛)は自分の毛髪の根元に人毛や人工毛を結びつけたり、特殊なシートで地肌に人工毛を貼り付けることで髪のボリュームを増やす方法です。どちらの方法でも自然にボリュームアップができるので、つむじや分け目などに部分的に使用するのに最適だと言えます

AGA治療と自毛植毛どちらがいい?

実際に薄毛の治療をしようとした場合にAGA治療と自毛植毛のどちらにしようか迷う方もいるのではないでしょうか。その場合は、まずAGA治療をおすすめします

AGA治療は薬を服用する治療なため傷痕が残ることはないですし、途中で治療を止めても治療前の状態にリセットされるだけで済みます。一方、自毛植毛の場合は傷跡が残ったり、外科手術が失敗する可能性があるのでリスクがある治療法と言えます。また、日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドラインにおいてもAGA治療の方が推奨されているため、まだどちらの治療も行ってないという方はAGA治療をおすすめします。

ただし、自毛植毛の場合は髪を作る細胞が機能しなくなってしまった場合でも薄毛治療ができるので、自身の脱毛の進行具合を把握して治療法を選択しましょう。

自毛植毛を受ける前にまずAGAクリニックに相談

自毛植毛にはさまざまなメリットがありますが、その一方でリスクがあることも注意しなければなりません。また、薄毛治療の最初の手段として自毛植毛をすることはおすすめしないので専門のクリニックに受診することが大切です。

専門のクリニックでは医師と相談することで、自身にとって最適な薄毛治療を行うことができます。クリニックでは無料カウンセリングを行っているところも多いので、薄毛や抜け毛が気になっっている方は気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか。

クリスタル美容外科では無料相談も承っております。まずは気軽にご連絡ください。

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