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【医師が教える】薬剤性脱毛の原因と症状

「病気に脱毛が始まったんだけど…」「治療薬を試したいけれど副作用によって脱毛が起きない?」など疑問や心配をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

今回のテーマは「薬剤性脱毛症の原因と症状」についてです。

服薬中の薬によって2つに分類される薬剤性脱毛ですが、脱毛を避けることができるのか?一度抜けても元に戻るのか?などの疑問に対する解説とともに、脱毛が起こりうる薬剤の種類も併せてご紹介いたします。

薬剤性脱毛とは?

薬剤性脱毛症とは、薬の副作用によって起こる脱毛症のことです。
薬の種類によって脱毛症も下記の2種類に分類されます。

  • 抗 が ん 剤 の 副 作 用  → 成長期脱毛
  • 抗がん剤以外の薬の副作用 → 休止期脱毛

このように、服薬している薬剤によって同じ脱毛でも影響を受ける細胞は変わります。この2つの違いについて次項で詳しく解説したいと思います。

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薬剤性脱毛|抗がん剤が原因の成長期脱毛とは?

抗がん剤は細胞の分裂を抑制することで癌細胞の増殖を抑えるようにできているため、毛母細胞も影響を受け死滅します。そのため脱毛が引き起こされるのです。

しかし抗がん剤治療中の脱毛を止める方法はありません。薬の投与終了後に新たに生えてくることを待つしかないのです。

もちろん副作用は眉毛やまつ毛にも影響するのですが、眉毛やまつ毛は髪の毛よりも成長期毛が少ないので、脱毛が目立たないことが多いです。

薬剤性脱毛|治療薬が休止期脱毛を引き起こすとは?

抗がん剤以外の薬剤の服薬で起こる「休止期脱毛」は薬の影響によって休止期の毛髪が増加することや、ヘアサイクルの成長期が短くなってしまうことで起こります

「休止期脱毛」の原因となる薬剤は複数存在する上、投与後脱毛の症状が出るまで長期間にわたり薬剤の特定が難しいケースもあります。そのため、薬剤の投与から「数ケ月、半年前」と長期間さかのぼり原因となる薬剤を検討する必要が出てくる場合もあります。

また薬の投与を止めても数週間から数カ月間に渡って脱毛が続いてしまうことも多いです。
その原因としては薬剤の投与中、一度退行期に入った髪は休止期に移行してしまうからです。

つまりこの時点で薬剤をストップしてもその毛髪の周期はそのままとなり、成長期を過ぎ退行期に移行済みの髪は休止期に入ることで抜けるしかないのです。

服薬をやめたのに脱毛が続いてしまう原因がヘアサイクルによって引き起こされてしまうということを覚えておいてください。 

脱毛が起こりやすい薬剤
「休止期脱毛」を引き起こす可能性のある薬剤は非常に多いのですが、その薬の種類によって脱毛の発現率が高い物と、比較的低い物があります。

発現率が高い薬剤
  • ヘパリンとヘパリン類似物質 50%
  • インタフェロンα 23~40%
  • エトレチナート 20%(乾癬の薬)
  • バルブロ酸 0.5~12%(双極性障害の薬)
  • カルバナゼピン 1.6~6%(てんかんの薬)
飲み薬の中で脱毛が起こりやすい薬剤
  • ワーファリン
  • シンバスタチン(高脂血症の薬)
休止期脱毛を起こす可能性のある薬剤と成分
抗ウイルス化学療法剤アンブレナビル,ジダノシン,エファビレンツ,インジナビル,
ラミブシン,ロピナビル,ネビラピン,アシクロビル
抗リウマチ剤アクタリット,オーラノフィン,ブシラミン,ペニシラミン
非ステロイド性消炎鎮痛剤アルミノプロフェン,アンフェナク,イブプロフェン,インドメタシン,ジクロフェナク,スリンダク,ナプロキセン
痛風治療薬コルヒチン,アロプリノール
α遮断剤ドキサゾシン
β遮断剤ベタキソロール,プロプラノロール,メトプロロール,アロチノロール,アテノロール
プロスタグランジン製剤アルプロスタジル,ベラプロスト
Ca拮抗剤アムロジピン
ACE阻害剤エナラプリル,イミダプリル,リシノプリル
閉経後乳癌治療剤アナストロゾール,エキセメスタン,トレミフェン
抗不整脈剤アミオダロン,塩酸ソタロール
高脂血症治療剤ベザフィブラート,クリノフィブラート,フェノフィブラート
HMG-CoA還元酵素阻害剤アトルバスタチン,フルバスタチン,プラバスタチン,シンバスタチン
ドパミン作動薬カベルゴリン,ブロモクリプチン
免疫抑制剤アザチオプリン,ミコフェノール酸モフェチル,タクロリムス
パーキンソニスム治療剤ベンセラジド,レボドパ,ペルゴリド
てんかん治療剤カルバマゼピン,バルプロ酸ナトリウム,トリメタジオン,ゾニサミド,リチウム
H2受容体拮抗剤シメチジン,ラニチジン
うつ病・うつ状態治療剤イミプラミン,メチルフェニデート
酒量抑制剤シアナミド
プロトンポンプインヒビターランソプラゾール,オメプラゾール
経口血糖降下剤グリベンクラミド,グリクラジド,グリメピリド,ボグリボース,アセトヘキサミド
アルドース還元酵素阻害剤エパルレスタットエパルレスタット
ビタミンAと誘導体エトレチナート,トレチノイン,レチノール,ビタミンA
骨代謝改善剤エチドロン酸ニナトリウム
抗結核剤エチオナミド,エタンブトール
抗真菌剤フルコナゾール,イトラコナゾール,テルビナフィン
GnRH誘導体製剤ブセレリン,ナファレリン
性ホルモン製剤フルオキシメステロン,テストステロン,エストロゲン
胆道疾患治療剤ヒメクロモンv
子宮内膜症治療剤ダナゾール
緑内障・高眼圧症治療剤レボブノロール,チモロール
インターフェロン製剤IFNα,IFNβ,IFNy
経口B型慢性肝炎治療剤プロパゲルマニウム
食欲抑制剤マジンドール
潰瘍性大腸炎治療剤サラゾスルファピリジン,メサラジン
抗甲状腺剤プロピルチオウラシル,チアマゾール
脊髄小脳変性症治療剤タルチレリン
勃起不全治療剤シルデナフィル
副腎皮質ホルモン合成阻害剤トリロスタン
アレルギー性疾患治療剤トラニラスト,テルフェナジン,エバスチン
血液凝固阻止剤ヘパリン,ワーファリン
排尿障害治療剤プラゾシン
駆虫剤アルベンダゾール,メベンダゾール,ジエチルカルバマジン,メフロキン
モノクローナル抗体製剤トラスツズマブ,インフリキシマブ

投薬を止めれば薬剤性脱毛は治る?

抗がん剤による成長期脱毛やその他の薬剤による休止期脱毛と多少の違いはあるのですが、「薬剤性脱毛」は薬剤を投与してから脱毛が始まるまでに長い期間を要することが多く、そのためどの薬が原因となっているかを発見しにくいのも特徴です。

しかし抗がん剤もその他の薬剤も、服薬を止めることで徐々に脱毛は収まり、毛量も回復するといわれています。

なお成長期の髪に対して脱毛を引き起こす抗がん剤は、その他の薬剤に比べると投薬中止後の回復が比較的早いと言われています。

薬剤性脱毛のまとめ

  • 薬剤により「成長期脱毛」か「休止期脱毛」の2つに分類される。
  • 服薬開始から脱毛までに長い時間がかかるため薬剤の特定が困難となる事が多い。
  • 薬の投与を止めたあともヘアサイクルの影響により脱毛が続く場合がある。
  • 多くの場合、投薬を止めることで徐々に回復が見られる。

今回は、「薬剤性脱毛症の原因と症状」について解説していきました。
服薬する薬剤によっては脱毛を引き起こす可能性がある事はご理解いただけたと思います。

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