男性ホルモンのジヒドロテストステロンと男性ホルモン受容体が結合することでうまれる脱毛因子(TGF-β)。このTGF-βですが、どのような物質なのでしょうか?今回は、TGF-βについてわかりやすく解説します。
脱毛因子「 TGF-β」の働き
TGF-βはタンパク質の一種で、細胞の増殖や分化を抑え、細胞の働きをコントロールする役割があります。TGF-βは、男性ホルモンであるジヒドロテストステロンと男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)が、結びつくことで生成されます。
髪の毛は、毛乳頭に栄養を行き渡らせながら毛母細胞を分裂させることで、成長していきます。しかしTGF-βが活発になりすぎると、毛母細胞などの働きまでも抑制してしまうため、脱毛が起こるというわけです。これによりAGAが発症・進行します。
AGAにとっては宿敵であるTGF-βですが、人間の恒常性を保つのに必要な因子でもあります。つまり、薄毛を引き起こすというデメリットはあるものの、身体に必要なものでもあるということです。
脱毛因子「TGF-β」とがん細胞の関係
TGF-βの大きな働きの一つとして、がん細胞を抑制する作用があります。がん細胞は正常な組織を壊すことで増え続けていきますが、このTGF-βはがん細胞の増殖を抑えることで、身体をガンから守ります。
脱毛因子「 TGF-β」によって脱毛する仕組みとは
前述したとおり、TGF-βには毛乳頭や毛母細胞の働きを抑制し、脱毛を促す作用があります。
具体的には、以下のようなメカニズムにより、これが起こるとされています。
- 男性ホルモン(テストステロン)と5αリダクターゼが結び付く
- DHT(ジヒドロテストステロン)が生成される
- DHTと男性ホルモン受容体が結合
- 脱毛因子(TGF-β)を生成+増殖
- 脱毛因子(FGF-5)へ伝達
- 毛乳頭に“脱毛”指令
TGF-βが生み出されると、別の脱毛因子であるFGF-5に伝達されます。このFGF-5は、毛乳頭に直接影響を与える因子と言われており、TGF-βが伝達されると毛母細胞に脱毛の指示を出してしまいます。
この作用により、髪の成長サイクルが乱れ、脱毛や薄毛に繋がると言われています。
脱毛因子「TGF-β」と男性ホルモンの関係
TGF-βは、男性ホルモンのジヒドロテストステロンの増殖することによって増えます。このジヒドロテストステロンですが、元々は別な男性ホルモンであるテストステロンと、5αリダクターゼと呼ばれる酵素が結び付くことで生まれます。
この様にTGF-βと男性ホルモンは深い関係性があります。
脱毛因子「TGF-β」の抑制方法
ではTGF-βの発生はどの様にしたら抑えられるのでしょうか?
ジヒドロテストステロンの発生を抑える
まず、ジヒドロテストステロンの発生を抑えることが挙げられます。AGA治療で使われるフィナステリドやデュタステリドは、このジヒドロテストステロンの発生を抑制することで、結果としてTGF-βの発生を抑え、脱毛を抑えるという治療法です。
AGA治療についてはこちらをどうぞ。
FGF-5の働きを抑制する
TGF-βがFGF-5に伝達されると、毛乳頭に脱毛の指示を出されます。したがって、FGF-5のそのもの作用を弱めることで、毛乳頭に髪を抜けという指示が送られにくくなり、脱毛が抑えられると言われています。
発毛因子(FGF-5S)を活性化させる
FGF-5Sは発毛因子と言われており、発毛を促進する役割があります。つまりFGF-5と逆の役割というわけです。髪のボリュームなどはこの2つの因子のバランスによって決まると言っても過言ではありません。したがってFGF-5Sを増やすことで抜け毛や薄毛防止に繋がるだけでなく、髪の成長が期待できるでしょう。
FGF-5Sを増やすにはワカメや昆布などの海藻類を摂取するといいと言われています。
発毛促進因子(FGF-7)を活性化させる
FGF-7は発毛促進因子と呼ばれており、髪の成長にプラスの影響をもたらすと言われています。FGF-7の分泌により毛母細胞が活発化し、髪の成長サイクルが整うことで脱毛を抑制できるという効果があります。
FGF-7を増やすには、AGAの治療薬でよく使われるミノキシジルなどの使用が有効とされています。
脱毛因子「TGF-β」のまとめ
AGAにとっては大敵であるTGF-βですが、私達の身体になくてはならない因子でもあるため、そのバランスが大事です。
TGF-βの発生の抑制方法はいくつかありますが、AGA治療薬を使った方法のほうが直接的に作用するため、高い効果が期待できるでしょう。まずは医師に相談してみてください。
クリスタル美容外科では、無料相談も承っております。ぜひお気軽にご相談ください。