年を重ねると友達や同僚などと髪の毛、特に「薄毛」にまつわる話しをすることはありませんか?
「父親がハゲているから自分もそのうちハゲるかも...」
「身内に薄毛の人間はいないから自分はハゲないんじゃないかな...」
このような会話をしたことのある方は一定数いるのではないでしょうか。
結論から言うと薄毛、AGAは遺伝します。
だからと言って諦めるのではなく、AGAのメカニズムを知り、原因と正しい対策を理解しましょう。
今回の記事では、主に以下について解説します。
- AGAのメカニズム(仕組み)
- AGAは遺伝するのか?
- AGAが遺伝する確率は?
それでは一つずつ解説していきます。
AGAのメカニズム
AGAが発症する原因に、男性ホルモンは大きく関わります。
髪の毛は「休止期→成長期→退行期」の成長サイクルを繰り返し成長しますが、男性ホルモンの影響でこのサイクルに異常が現れるとAGAが発症するのです。
いったい男性ホルモンに何が起こったのでしょうか?
一つずつ確認しましょう。
1.男性ホルモン(テストステロン)と5αリダクターゼの結合
まずは初めに、テストステロンと5aリダクターゼについて簡単にまとめます。
テストステロン
髪の毛や骨、筋肉を生成する役割を担う男性ホルモン。
5αリダクターゼ
前頭部や後頭部、側頭部、前立腺に存在する還元酵素。
それぞれ私たちの身体を生成するのに必要な要素ですが、テストステロンと5αリダクターゼが結合すると、「ジヒドロテストステロン」と言う男性ホルモンを生成します。
このジヒドロテストステロンがAGAを進行させる最初の要因になるのです。
2.DHT(ジヒドロテストステロン)を受容体がキャッチ
ジヒドロテストステロンそのものは身体を生成するために必要な男性ホルモンの一つのため、悪い存在ではありません。ただし、AGAと言う観点では悪者と言われてしまうのでしょう。
ジヒドロテストステロンをアンドロゲン受容体がキャッチ(結合)することで、脱毛因子を生成します。
※脱毛因子については後述します。
アンドロゲン受容体は感受性に個人差があり、感受性が高い人ほど、アンドロゲン受容体がDHTをキャッチしやすく、AGAになる可能性が高まります。
逆に感受性が低ければ、AGAになる可能性も低いと言えるでしょう。
3.脱毛因子が抜け毛命令を出す
最終的に脱毛が起こるには、「TGF-β」と呼ばれる脱毛因子が「FGF-5」と呼ばれるもう一つの脱毛因子に髪を抜くように伝達、そしてFGF-5が毛乳頭に「髪の毛を抜け」と指令を出すことで起こります。
髪の毛は「休止期→成長期→退行期」のサイクルで成長し、成長期はおよそ2〜6年続くと言われています。しかし、脱毛因子によってこの成長期の期間が数ヶ月〜1年と短くなってしまうのです。
このように、脱毛は一つの要素によって起こるのではなく、様々な要素が絡み合って発症します。
AGA(薄毛)が遺伝する理由
続いてAGAが遺伝する理由について解説します。
5αリダクターゼの活性度の遺伝
AGA発症のきっかけとなる5aリダクターゼの活性度は、優性遺伝によって親から子へ遺伝します。
優性遺伝とは端的に言うと、父または母の遺伝子どちらかが、片方の遺伝子の特性を押さえつけてしまう遺伝のことです。
つまり、父方もしくは母方の家庭に薄毛の方がいる場合、5aリダクターゼの活性度がご自身に遺伝している可能性があります。
男性ホルモンレセプター(受容体)の感受性の遺伝
そ先ほど解説したアンドロゲン受容体、「男性ホルモンレセプター」の感度も親から子へ遺伝します。
男性ホルモンレセプターの感受性が高い人ほどジヒドロテストステロンをキャッチしますが、この感度の強さは特に母方の家系に薄毛の方がいる場合に遺伝すると言われています。
なぜ母方から遺伝するかは次章で詳しく説明します。
AGA(薄毛)が遺伝する確率
AGAが遺伝する点はご理解いただけたでしょうか?
ではAGAが遺伝する確率はどれほどなのでしょう・・・。
本項ではAGAが遺伝する確率を解説します。
薄毛を受け継ぐX染色体とは?
染色体はXとYの2種類が存在し、X染色体は生存に必要な遺伝子を多く含みます。Y染色体は、性別を決めるためのもので、男性のみが持ちます。
簡単に言うと、男性と女性は
- 男性:XY
- 女性 : XX
の染色体で構成されています。
子供が生まれるとき、男の子はお母さんのX染色体とお父さんのY染色体を受け継ぎ、女の子は両親からXの染色体を受け継ぎます。
ここでAGAと遺伝の話に戻ると、このX染色体は男性ホルモン受容体の感度を司る役割があるため、はげやすいX染色体が遺伝されるとその子供(男の子)も将来はげやすくなるということです。
男の子のX染色体は母親から受け継がれますが、これは元々この母親のX染色体は母親の両親から受け継がれるものなので、母親の祖父がはげていると、この男の子もはげるX染色体を持っている可能性が高いということになります。
ちなみに女性は、まだ完全には明らかになっていないものの、はげるX染色体を持っていても遺伝の影響を受けにくいと言われています。なので、母親には影響が出ず、隔世遺伝的にその男の子がはげやすくなるというわけです。
次項では母方の家系に薄毛の方がいる場合、自身が薄毛になる確率を解説します。
母方の祖父・曽祖父が薄毛の場合
それではAGAが遺伝する確率はどれほどでしょうか。
母方の祖父・曽祖父が薄毛の場合のAGA遺伝する確率は以下と言われています。
- 母方の祖父が薄毛の場合:約75%
- 母方の曽祖父が薄毛の場合:約90%
この確率の高さは「隔世遺伝」が起因します。
隔世遺伝とは端的に言うと、祖父や曽祖父にある遺伝的特徴が、自分の親を飛び越えて、ご自身に遺伝することです。
もちろん母方の祖父・曽祖父が薄毛であっても、必ずしも子へ遺伝するとは言い切れません。
しかし、母方の家系に薄毛の方がいる場合、AGAが遺伝する確率が高いということは理解してください。
父親の薄毛が遺伝する可能性もある
ちなみに父親が薄毛であってもAGAが遺伝することはあります。
繰り返しとなりますがAGAは、5aリダクターゼやDHTと言ったその他さまざまな要素によって発症します。
そしてこれらの要素は父方、母方関係なく誰しもが持つ要素なのです。
つまり、母方に薄毛の人がいないことが安心材料にはなるかもしれませんが、父親からの遺伝によってAGAが発症する可能性があることも念頭に置いておきましょう。
遺伝とはいえどもちろん個人差はある
AGAが遺伝すると言っても個人差はあります。
20代のうちに発症する方もいれば、50〜60代になってから発症するケースもあり、一概に〇〇歳から発症するとは言えません。
ただし、5aリダクターゼの活性度が高く、アンドロゲン受容体の感受性が強いほどAGAが発症する可能性が高いのは先述した通りです。
AGA治療の効果の出やすさは遺伝する?
AGA治療に限らず治療薬の効き目、効果の出やすさは遺伝します。
薬は私たちの体を巡り分解・吸収され、少しずつ尿や便によって排出されるのです。
つまり、代謝能力も遺伝することで、薬の効果の出やすさは左右されます。
とはいえ、AGA治療は目安として約3ヶ月から半年ほどで効果を実感いただくことが多いです。
全ての薬に当てはまるわけではありませんが、薬を処方してもらったからといって、効き目がすぐに出るとは限りません。
焦らず、そして医師からの指示のもと、正しい治療を行うことでAGA治療を行いましょう。
遺伝以外のAGA(薄毛)の原因
続いて遺伝子以外のAGAの原因について解説します。
生活習慣の乱れ
まず生活習慣の乱れです。
これらの要因が積み重なると血行不良に陥り、頭皮に充分な栄養が届きません。
本来頭皮に届くはずの栄養が届かなければ、髪の毛のサイクルが乱れ、髪はだんだんと細くなり、そして抜け毛につながります。
全てを一気に改善するのではなく、一つずつ、そして少しずつ生活習慣の乱れを正しましょう。
自分からAGAにつながる行為を避けることで脱毛の不安から解消されます。
ストレス
過度なストレスもAGA発症の原因の一つになりえます。
ストレスを抱え過ぎてしまうと、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、体調を崩しやすくなります。
そして過度なストレスも血行を悪してしまいAGAにつながるのです。
間違ったヘアケア
洗髪やドライヤーなどのヘアケアにも注意しましょう。
誤ったヘアケアは頭皮を傷つけ、その結果、フケやかゆみ、抜け毛の原因となります。
シャンプーやコンディショナーの容量を守る、髪は自然乾燥ではなくドライヤーでしっかり乾かす等、ご自身の髪や頭皮を労ることで抜け毛の可能性は低くなるのです。
遺伝によるAGA(薄毛)の治療法
AGAの治療方はどのようなものがあるのでしょうか。
それでは、一つずつ解説していきましょう。
投薬
まずは投薬による治療法。
代表的なのは「フィナステリド 」「ミノキシジル」と呼ばれる成分の入った飲み薬ではないでしょうか。
AGAについて調べたことがある方は聞き馴染みのあるキーワードかもしれません。
ざっくりご説明すると、両者の働きは以下の通りとなります。
- フィナステリド:脱毛を抑える
- ミノキシジル:髪の成長サイクルを延長する
メソセラピー/HARG治療
メソセラピーとHARG治療は端的に言うと頭皮に薬剤を注入する治療法になります。
両者の違いは一言で言うと、「AAPEパウダー」の有無で、メソセラピーにはこの成分は含まれていません。
どちらの治療が良いかは治療に使われる成分や治療費など個人によって異なります。
医師に相談の上、最適な方を選択していきましょう。
植毛
続いて植毛です。
植毛の治療法は下記2種類があります。
- メスを使用しない「FUE法」
- メスを使用する「FUT法」
また髪を植える単位は「株」で、1株あたり1〜4本の毛を植えます。
薄毛の型によって値段が変動するため、こちらも医師とのご相談をおすすめします。
AGA(薄毛)は医師に相談
いかがでしたでしょうか。
AGAは遺伝すること、そしてAGAは様々な要因によって発症するのだとご理解いただけたら幸いです。
髪の毛は、決められた回数やサイクルでしか生え変わりません。
つまりAGAは早期治療によって、長くそして健康な髪を維持できる可能性が高いのです。
クリスタル美容外科ではAGA治療も対応していますので、薄毛の悩みを抱えている方はぜひお問い合わせください。